夕闇と静寂「文蔵の滝」

  急用ができたので滝に着いたのは

二時を過ぎていた。

 滝へ続く道には、ところどころに水溜りが

出来ている。

 滝に入るころには、小雨も止み

流れる雲から青空も顔を出す。

 岩と木々に囲まれた滝の黄昏は早く

夕闇と静寂の中、緑と山茶花の花が

ぼんやりと浮き出る。

 水の冷たさで指が痛いとまではいかないが、

焚火はありがたい。

何よりも夕闇が炎を際立たせ、幻想的だ。

暖かさと洗われたこころが相俟って心地よい。

 帰りの車中から見上げる空には

怪獣に見える大きな灰色の雲から

上弦の月が現れ、私達を追いかけてくる。

 過ぎ去る日々の中に、滝での充実した時間を

入れてみませんか。

 電話 072-297-4765  こいぜき