「文蔵の滝き」に生存競争を見た

  今年も滝の桜が咲き始めた。

年々花の数が少なくなっていくのが寂しい。

 春の訪れは植物にとって試練の季節でも

ある。

 毎年スミレ一色になる場所には、

名も知らない野草が顔を出している。

 両者、生死をかけてある限りの力で

競っているのだ。

 いっぱいの花をつけた椿の回りでは、

樹木の肌に大蛇をおもわせる「蔓」が

絡み付き、上へ上へと締め付けながら

はい上がっていく。

 長い時間の経過が、勝敗を決めるだろう。

滝の澄んだ空気に包まれると、人間も自然

そのものであること、そして生き物である

自分もなにかと競っているのだろう。