木+春=椿「文蔵の滝」

 道すがら目に入るのは、家々の庭に咲く

モクレンの花である。

 空に向かって大きく開く白い花は、

純白のウエデングドレスとブーケを

連想させる。

 滝の回りの雨に濡れた地面には、

そのままの形を留めた椿の花が点在する。

 椿=「木」で作ってもらった杖に力を借り

ながら、「春」の歩き遍路でのことが

思い出される。

 四国最南端足摺岬には、38番札所

金剛福寺がある。

 その道中は、雄大な太平洋と多くの

椿に迎えられたのである。

 今思い返すと、童謡の歌詞そのままの

風景の中を歩いた気がする。