新春を迎える「文蔵の滝」 

  2021年新春、はじめての滝は

残雪を体感しながらである。

 樹木に積もった雪が、風に吹かれて

しだいに小さくて丸い塊になって

組んだ両手に落ちてくる。

 外気より水のほうが暖かい。故に、

外気に晒される上半身は過敏となり、

特に指の先は赤くなって痛い。

 だが、そんな弱音を掻き消してくれる

のは、凛とした空気の中でとなえる

声明である。

自分が発した声と思えない心地よい

響きは、全細部に行き渡りそうである。

 楽しみにしている水仙の蕾は

がくに包まれて夢の中、花開く年頃に

成長するには時間が必要だ。