仲間と宝珠「文蔵の滝」

 一年以上あえなかった仲間が顔を見せてくれた。

以前よりましてきれいな肌、すがすがしく超越した

感じさえ見受けられる。

 十年あまりお世話していた母上が、

十一月に亡くなられた。

 話の中で、彼女が何度も口にされたのが、

後悔ではなく母上への感謝の気持ちしか

湧いてこないこと。

 日々の数えきれない葛藤があっただろうに、

それを乗り越え今の彼女があるのだろう。

 今までのように自由に出かける事を望むのは、

母がいなくなることを願うようでいやだったと。

 久しぶりの滝行は、勇ましくどんどん深場に

入って行く彼女。でも涙が溢れてきたという。

 涙の一粒一粒は、彼女だけの宝珠だ。