焚火の有難さ「文蔵の滝」

 水しぶきを上げ、ワイパーのリズミカルな音と共に

車は進んでいく。

 見上げた山々は霧に包まれ

いつもと違う風景、墨絵の世界である。

 どこからともなく金木犀の香がしてくる。

ふと、自分の中に仕舞っていた別の感覚が

開く感じがした。

 今日は、家族だけの滝行である。

焚火ができないときは、芯まで冷えた身体に、

温かい飲み物とチョコレートを口に入れ、

家に着くまで凌ぐのだ。

 車が暖まると、気持ちの良い睡魔が襲う。

身体の解凍していない部分は、家で待っている

温かい鍋料理を食することで溶けてしまう。

やっと、油を注してもらった

機械仕掛けの人形が、スムーズに動ける、

そんな感じだろうか。

 これからの滝行は、だれでも体験できる

ものではないからこそ、「願いが叶うのです」。

 滝で待っています。

電話 072-297-4765  こいぜき